
音楽は耳と脳をつくりなおし、脳力をアップするという働きがあります。特に8000Hz以上の音を含む音楽は、脳内回帰の音と言われ、耳にそのような胎内音を聴かせると、聴力そのものが胎児の頃に戻り、耳がまっさらな状態に戻るとされるのです。モーツァルトを聞かせると、中耳が固まった状態から、生まれた時のような柔軟な状態になり、耳が蘇生すると言います。目は悪くなると、元のさらの目に戻すことはまずできないのに、耳はいつでも音楽によってさらの耳に戻すことができると言うのです。よい音を聴かせる聴覚トレーニングをすると、クラシック音楽が美しく聴こえるようになります。耳の世界が新しい体験をするようになるのです。目からうろこが落ちるように、耳から耳栓が生まれて初めてとれるという体験をするようになるのです。耳は社会への心の窓だと言われることがあります。耳が開くと心が開くのです。

モーツァルトの曲は、人間によいばかりではありません。人間が飼っている家畜に聴かせるとよいという話はよく知られています。ニワトリに聴かせると、ニワトリ同士つつきあうけんかがなくなり、卵の産出が倍になった、質もよくなったという話や、牛の乳が良質になり、よく出るようになったという話は誰もが聞いている話だと思います。植物に聴かせると、植物の成長がよくなったという話もよく聴きます。モーツァルトの曲でどうして乳牛の乳の出がよくなったり、お酒の味がよくなったりするのでしょう。乳牛が乳を出すのに重要な役割りを果たすタンパク質にプロラクチンという乳腺刺激ホルモンがあり、モーツァルトの曲のリズムと旋律が、このプロラクチンの形態に共鳴し、共振するために乳の出を促進すると説明されています。お酒の醸造では必要な酵母菌を活性化するのでおいしくするとされています。

人間の体は動物や植物よりもっと微細です。特に脳細胞は一層繊細で、微妙な組織です。そのためもっと目覚しい効果がもたらされるのです。モーツァルトの音楽は、人間においては神経組織の発育にまで作用するとトマティス博士は言います。仕事場にモーツァルトの曲を流すと、作業効率が向上したり、職場環境が改善されます。モーツァルトの曲を流すようになると、作業効率が10数%アップしたという報告もあります。産業音楽という言葉まで現れました。音楽があると、職場の作業効率が高まるということは1960年代から言われ始めました。そうして多くの企業が工場内にBGMを流し始めました。ところが作業現場にふさわしい音楽を選ぶ視点がないために、作業リズムとのリズムの一致という点に思い至らず、単純に軽快さを求め、あるいは単に担当者の好みで選曲していたので、かえって作業員の疲労度が高まったという皮肉な結果を招くケースさえあったのです。ところが工場内にモーツァルトの曲を流すようにすると、作業員の疲労度が減少し、事故率、製品不良率が激減したのです。作業員のストレスが減り、集中力がとぎれず、ミスが減りました。選曲が正しければ、新米作業員の作業レベルが、わずか数ヶ月間でベテランの域に達すると言われます。来客の少ない店でモーツァルトを流すと、集客率がよくなり、売上率が高まります。

モーツァルトの音楽には右脳の能力を開く力があって、それを流すと会社全体にプラスの波動が広がり、会社をプラスの波動で覆っていきます。するとどうなるでしょう。その最高のプラスの波動に合わせて、会社全体にすばらしいことが次々に起こるようになります。鳥取県米子市にある東京印刷の社長、杉原弘一郎さんは五年前から自分の会社と工場全体にモーツァルトの曲を常に流しておくことを始めました。きっかけは杉原社長の娘さんが、1冊の本の内容を簡単に覚えてしまうことです。杉原さんはなぜ自分の娘にこのような力があるのかと不思議に思っていました。人間には左脳と右脳があり、右脳に見聞きしたことを一度で覚えてしまうという能力があることを知ったとき、娘さんの能力は右脳の能力に違いないと思ったのです。杉原社長は娘さんが小さい時によくモーツァルトの曲を流しておいたことを思い出しました。そうしてそのことが原因に違いないと考え、そのことから会社にモーツァルトの曲を流しておくことを思いついたのです。モーツァルトの音楽を流すようになって半年ほど経つと、「おや」と感じるようになり、一年経つと「まちがいない。モーツァルトの曲のおかげだ」と確信するようになりました。まず社員の欠勤が少なくなり、工場の事故が少なくなりました。どういうわけか機械の故障も少なくなりました。社員の仕事の効率がよくなり印刷ミスも少なくなりました。デザイナーたちのデザインが褒められるようになって、コンテストでもよく入賞するようになりました。印刷の仕上がりがよいため注文も増えてきました。また、どういうわけか、訪れる人が増えて、杉原社長の周りはつねに多くの人が集まるようになったのです。杉原社長は「これらの現象はすべて音楽のお陰だ。会社全体の波動がプラスになり、すべての良きことを引きつけているのだ」と結論付けました。それだけでは終わらずに、この現象を音楽の波動による熟成だとして、「音楽熟成」という言葉を作り、音楽熟成の考えを自分の周りに集まる会社の経営者たちに話すことにしたのです。杉原社長は幸せを周りの会社の経営者たちに分福したいと思ったのです。

こうして音楽熟成協会が発案され、2003年7月10日に設立されました。多くの方たちの共感を得て、有力な方たちが発起人として集まってくださり、すばらしい陣容でスタートすることになったのです。協会の活動の目的は、協会の規約に次のようにうたってあります。「本協会は、音楽熟成の研究と開発により、その成果を会員および一般に啓発・普及し、もって社会の健全な発展に寄与する事を目的とする」とあります。その事業活動として、音楽熟成についての講演会及び、研修会が開かれます。また、音楽熟成に関する書籍、CD等の販売と配布があり、会員相互の親睦活動があります。協会では加盟くださった団体や個人が、この活動によってみんな幸せの道を歩み始められることを心から願っているのです。そのための細かな活動計画もあります。現代の不況にも拘らず、加盟された方たちが、繁栄の道を踏み出されるように、細かなご指導ができるようにしたいと考えています。
|